令和7年(2025年)は、ルイ・ブライユが点字を考案してから200年となる節目の年です。点字は、視覚障害者が自由に読み書きできる文字として、社会とのつながりを築く上で重要な役割を果たしてきました。ただ、ルイ・ブライユは点字を発明した後も、見える・見えないに関わらないユニバーサルな方法=「デカポアン」(10点点字)の開発に向けて研鑽を重ねていたそうです。近年、PC、スマートフォンの音声読み上げ機能、点字・墨字変換などの発達により、200年の時を超えて、ルイ・ブライユのユニバーサルデザインの夢がようやく実現したと言えるかもしれません。
点字考案200年にあたる今年は、全日本盲学校教育研究大会も節目となる100回目を迎えました。7月31日~8月1日には、第100回全日本盲学校教育研究大会・東京大会が開催され、本校も主管校の一つとして教職員一丸となって運営に携わりました。本研究大会では、「持続可能な盲学校を目指して夢を語ろう」をテーマに記念シンポジウムが開催され、公益社団法人 日本眼科医会会長 白根 雅子様、日本視覚障害者団体連合会会長 竹下 義樹様、慶応義塾大学経済学部兼大学院社会学研究科教授 中野 泰志様、淑徳大学総合福祉学部教育福祉学科教授 青木 隆一様 に御登壇いただきました。盲学校として今できること、これから取り組むべき方向性などを前向きに考える時間となりました。盲学校とインクルーシブ教育システムが両立する可能性やセンター的機能の法的明確化などが力強く討議されました。医療と教育との連携の必要性の話題では、「医学がいかに進歩しても視覚障害はゼロにはならない。見えにくくなった方々が希望をもって人生を歩めるように医療と教育が連携して支えることの重要である」という方向性や、「能力を最大限に引き出す、高い専門性をもった教育者が絶対に必要である」ことが再認識されました。
点字考案200年、全日盲研100回の節目にあたり、大切に継承されてきた技術・思いに心を寄せ、自覚と誇りをもって目の前の課題に向かう決意を新たにしました。