「想像できない明日」
校長 安田 咲登子
東京の梅雨は、始まりも終わりもはっきりしないまま、酷暑が続いています。
本校でも6月中旬から水泳指導がはじまっていますが、毎日、天気予報、WBGT測定器とにらめっこ状態です。私が子供のころ(おそらく昭和に生まれた方々は皆そうだと思いますが)、「暑すぎてプールに入れない」なんてことは、想像すらしたことがありませんでした。「今日は暑くなるからプールだな。」と意気揚々とプールバックを抱えて学校に行きました。夏休みは毎日泳いで真っ黒に日焼けしました。日焼けした肌は健康の証と言われたものです。また、中学、高校に進学すると当然、体育館には冷房はありませんでした。部活動中には「絶対に水は飲む な」というおきてがありました。おきての理由や根拠は分かりませんでしたが、喉は乾きます。顧問の先生や先輩に隠れ、顔を洗うふりをして水を飲む技術を会得して、少しの水を大切に飲みました。昔の常識、今の非常識です。
話題はかわりますが、6月末には全国盲学校長会総会・研究協議会がありました。盲学校は特別支援教育のなかで、特に長い歴史をもっています 。昭和の時代から 幼児・児童・ 生徒数の減少は 課題として 取り上げられていました 。また、 少数の障害種であるがゆえの専門性の維持 ・継承 の課題も永遠のテーマと考えられます。今日的にはより有効なICT機器の活用の在り方、専攻科理療科 を中心とする職業教育の在り方など 、新たに知恵を出し合って取り組んでいかなければならない課題も多くあります。
新しい学習指導要領にも「予測困難な時代を生きる力」という言葉が多く出てきます。変化が激しく、先の見通しが立ちにくい状況にあっても、たくましく、しなやかに生きていく力を身に付けられる学校でありたいと思っています。
さて、今日も予想最高気温は38度、生徒の皆さんの健康安全に留意しながら、充実した一日になるよう教職員一丸となって取り組んでいきます。
4月からの各科の様子をお伝えします。
<普通科>
【第1学年】
入学当初から変わらず、今も和気あいあいとした雰囲気の1年生です。そのお陰か、各授業で多く設定される話し合い活動では、役割分担から発表まで、とてもスムーズです。
7月からいよいよ移動教室に向けて活動を開始しました。今後は、係活動や班行動の内容を決めていくなどがありますが、きっとワイワイと楽しく進めていくことでしょう。
文責:佐々木
【第2学年】
今年度から修学旅行が2年生での実施になります。長いコロナ禍の時期を経て、2泊3日、新幹線で名古屋と、コロナ以前の形に戻ってきました。総合的な探究の時間に調べ学習や制 作活動に取り組んでいます。こんな活動が普通にできることに感謝しながら、充実した修学旅行になるよう準備していきます。
文責:名取
【第3学年】
修学旅行も終わり、生徒はいよいよ本格的に進路活動に専念する頃となりました。就労を目指す生徒、進学を志す生徒等ともに、それぞれの目標に向かって努力を重ねています。
実習や模擬試験等を経験するごとに、生徒は少しずつ表情や態度などが大人になっている印象を受けます。引き続き、体調に気を付けて、頑張ってほしいです。
文責:森
<専攻科>
6月19日(水)に行われた職 業講話は、「ヘルスキーパーとしての心構え」をテーマに実施されました。講師は本校卒業生でヘルスキーパーをしている方です。長年に渡りヘルスキーパーとして勤務する中で、求められる技術を探求し、社員の効率的な仕事をサポートしていくために、どのようなことに積極的に取り組んできたかというお話を聞くことができました。生徒達にとって、視覚障害者が組織の中で就労するうえで、技術の他に、実際に何が求められるのかを考える良い機会となりました。
6月21日(金)には、専攻科2年の行事として施術所見学を行いました。院長は本校卒業生で開業をされている全盲の方です。開業し、事業が軌道に乗るまでの苦楽の道のり、開業するにあたっての経費や営業方法など視覚障害者で開業している方ならではの具体的方策を聞くことができました。生徒も実際に開業している先生の話に引き込まれている様子で、活発な意見交換がみられました。
それぞれの講話や見学から得られたことを、今後に活かしてほしいと思います。
文責:伊藤光
<寄宿舎>
今年度、寄宿舎は新入舎生9名を迎え、23名の舎生が生活をしています。4月は緊張気味だった新入生も、入舎式や新入舎生歓迎会などをきっかけに在校生とも少しず つ関係が深まり、先輩達と一緒にリラックスして生活する様子がみられています。より有意義な寄宿舎生活となるよう、個人目標決めをしました。自分の生活に目をむけ、頑張りたいことなどを目標にしています。また5月からは自治活動の中心となる舎友会運営委員会の活動がスタートしています。グループ会では「起床時に好きな音楽を流したい、いつもと異なる席で食事をしたい、体育館で体を動かしたい、皆で外出したい」など様々な意見がまし た。要望の実現に向けて5名の運営委員を中心に話し合いをすすめ、充実した寄宿舎生活にしていきます。どのような集団になるのかとても楽しみです。今年度も「昴」を通じて、寄宿舎の様子や舎生の成長をお伝えしていきます。
文責:宇山