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昴 第6号 令和4年9月30日

「命と平和、感謝と愛を」

 普通科主任 丸山 恭子

 今年も暑い8月が往き9月が終わろうとしています。当たり前のように過ぎていく年月ですが、この季節、私は命と平和について思いを巡らせます。
 今から37年前の8月12日、大学4年生だった私は、教員採用一次試験の結果が届くのを一人自宅で待っていました。昼過ぎに一次合格のはがきが届き、お盆で母の実家に帰省している家族に連絡すると、祖父が「今からその通知を持ってこっちにおいで。」と言うので電車で向かい、19時過ぎに実家に着くと、家族がTVに釘付けになっています。後に単独機の航空事故では世界最多の死亡者数となった日航機事故の第一報となるニュース速報が流れていたのです。あの夏、連日報道される甚大な事故の様子を見聞きしながら、520人が命を落とした悲惨な事故の日と、自身の将来を決める一歩となった日が重なり、毎年この日が近付くと、命の重みや生きていくことについて改めて考えさせられます。
 前任校では、修学旅行の引率で沖縄を、下見で長崎を、夏に訪れる機会がありました。どちらも戦争の爪痕が強く残っている場所です。沖縄の平和祈念公園にある資料館での展示物や映像に衝撃を受けて私の腕をずっとつかんで離さなかった生徒や、公園内の沖縄戦で亡くなられた24万人余全ての人々の氏名を刻んだ数多の礎を見て涙を浮かべて立ち尽くす生徒。長崎で訪れた、72年前の8月に一瞬で約15万人が命を落とした原爆の惨状を伝える資料館での、崩れ落ちた壮麗な天主堂の残骸や破れた衣服、熔けたガラス瓶の展示物等…それらの光景を思い出すと、今でも心が震え感情が揺さぶられます。同時に、目覚ましい勢いで復興したそれぞれの街の風景写真を見て、人間の強さ、逞しさを感じ、こういう歴史を経て今この国の平和な日常があるのだと実感します。
 時が移ろい、人々の記憶は薄れ、日本ではこれらの出来事が風化されそうになっています。全世界に衝撃を与えた9.11同時多発テロ事件ですら、アメリカでは風化が進んでいるとの報道もありました。が、世界では今年平和な日常が崩壊してしまう戦争が始まり、多くの命が失われている国があります。貧しい人々のために活動し、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサは、ある時「世界平和のために私は何をしたらいいでしょうか。」と尋ねられ、「あなたの家に帰って、あなたの家族を愛してあげてください。」と答えたそうです。まず目の前の人を愛し幸せにできなくて何ができるのかということです。直接的で分かりやすく、心に突き刺さる言葉です。小さな積み重ねが大きなことにつながっていくのです。
 皆さんは、今自分の目の前にいる人に感謝し、愛し、大切にしていますか。

 

<普通科>   3年ぶりのプール ~水泳指導再開について~

 「キャー、冷たい!」「わあ、やめてー!」「結構気持ちいい!」「抜かせー!」
 待ちに待った水泳授業のひとコマです。更衣室の人数制限や生徒同士の間隔の確保など、これまでと違うこともありましたが、再開に結びついたのは大きな前進だと感じています。本校のプールは屋上にあります。25m×3コース、日光を遮るものが何もないので晴れの日はコンディション抜群です。周りを囲うのは高いビルなので、都会のプールを感じさせます。授業では、全講座で水中ウォーキング、加えて普通科B講座はアクアビクス、CD講座は泳法練習、専攻科では様々な水中運動や浮く練習、そして全授業の最後には短い自由時間を作り、楽しみました。開放的な雰囲気の中、水がかかっても笑顔の生徒、浮き具の取り合いをしながらはしゃぐ生徒の姿は、プールを再開できて本当によかったと思う瞬間でした。事故なく無事に終えることができ、心からホッとしています。  文責:佐々木

 

<専攻科>

 専攻科の生徒は夏季休業期間中に卒業後の進路を見通した進路見学・進路実習を行いました。校内では体験することのできない、現場ならではの緊張感や充実感を味わうよい機会になったようです。職場体験を引き受けてくださっている企業や治療院は、本校の卒業生が就業している所がほとんどです。本校の卒業生が後輩の為に力を貸してくださることで、進路実習が成り立っています。地域で活躍する卒業生が多いこと、実習生を受け入れてくださる企業が多いことが、文京盲学校の強みとなっています。
 生徒のみなさん、希望する進路実現に向け、卒業した先輩方に追いつけるよう知識と技術を積み上げていきましょう。  文責:伊藤洋

 

<研究研修部>

 研究研修部では各科で様々な研究、研修活動を行っています。
 普通科では、指導改善のため外部より講師を招いて研修会を行っています。今年は教材教具に関するもの、盲ろう教育、卒業後の支援についての研修をしました。
 専攻科では、生徒の実技指導の向上を図るために触察についての研修を行っています。また、模擬試験の作成にあたり、国家試験の様式に沿った作成ができるように研修を行いました。
 寄宿舎では生きる力を育む寄宿舎教育を目指し、研修を行っています。夏季休業中は、臨床心理士を講師に招いて研修会を行ったり、本校教諭から改めて歩行や調理指導を学んだりしました。
 また、普通科、専攻科では授業改善のために教員がお互いに授業を見あう公開授業を全員が行っています。生徒の皆さんも緊張すると思いますが、教員も緊張します。ともによりよい学びのために協力していきましょう。  文責:佐藤

 

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