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第6号 令和3年9月30日

学校便り 「昴(すばる)」
令和3年9月30日 第6号 通算第66号
東京都立文京盲学校 校長 木村利男

[設置学科]
普通科(高等学校に準ずる教育等)
専攻科(保健理療科・理療科)

立ち居振る舞い

普通科主任 丸山 恭子

 『立ち居振る舞いというヤツは、練習によって身に付くものだ。だがそれは形だけである。色が付かなければ本物にはならない。その色は練習によって付くものか。否。絶対に否。親子代々無量の時間的経過が醸し出すものだ。・・・・・』
 皆さんは、「立ち居振る舞い」という言葉を聞いたり使ったりしたことはありますか。「立ち居振る舞い」は「立ち居」と「振る舞い」が合わさった語で、「立ち居」は立ったり座ったりすること、何かを行うときの様子や態度といった意味。「振る舞い」も何かを行う様子という意味ですので、総合すると「日常における身のこなし・動作」という意味の言葉です。
 私がこの言葉を知ったのは、小学校卒業文集の先生からの言葉でした。小学校高学年3年間担任だった先生は、専門は社会でしたが御自身の専門以外についてもとても博学で洞察力が高く、授業や宿題も教科書にはない学びがありました。例えば国語では、「節分はいつか」という問いに対して、小学生ですから単純に「2月3日」だと答えますが、節分とは「季ける」ことを意味しているから、通常は「立春の前日」が正解、では立春とは・・・というようにつながった言葉が拡がっていく授業。宿題は漢字や計算ドリル(反復学習)のようなものではなく、TVで週1回夜30分放送される紀行番組の内容をノートにまとめてくる(当時はまだ録画など無い時代なので大変でした)、毎日四行日記を書く・・・当時は何故こういう宿題なのかと思っていましたが、成長過程の中で、あの宿題は、物事を聞いて自らまとめる力や文章を書く基礎になっていたのだと気付かされました。私達が間違ったことをしたとき等は飛び上がるほど怖い厳しい先生でしたが、クラス40名の児童をよく見ていて、一人一人にその時々でいろいろな言葉を掛けてくださいました。
冒頭の文章は、その先生が卒業文集の中で、私宛てに書いてくださった送る言葉の前半部分です。文集には、先生から担任児童一人一人に対して約160字ずつのメッセージがありました。初めて知った「立ち居振る舞い」という言葉から始まる文章は、後半部分のこの先長い人生を送る私への餞の言葉を含め、小学生の私にはまだ難しく、両親が分かりやすく説明してくれました。私は、先生からの温かな言葉と想いを知ると同時に、「立ち居振る舞い」という言葉がもつ意味を胸に刻み、それを常に意識し心に留めてきました。
 「立ち居振る舞い」は、社会人になるためのマナーや礼儀等の話題でよく用いられます。「日常における身のこなし・動作」を磨くには、練習の他、身近な人のスマートな何かを行うときの様子や態度、言葉遣いをまねるというのも一つの方法です。TPOに合わせた臨機応変な「立ち居振る舞い」ができることが、一社会人としての姿ではないでしょうか。
 「立ち居振る舞い」は、現在は「ビジネスマナー」と言われることの方が多いようです。和製英語もよいですが、日本には古来より美しい言葉があります。東京オリンピック・パラリンピック招致の際のスピーチで話題となった「おもてなし(もてなす)」もその一つです。由来ある日本語を大切に、自分自身の「立ち居振る舞い」、考えてみませんか。

<普通科>

 8月27日~29日の3日間、普通科3年の木村由さんが東京2020パラリンピック競技大会に出場しました。結果は12位でしたが、世界を相手に戦う姿は立派でした。この大会やここまでの道のりでは、学校では学ぶことのできない多くの体験をしました。また、学校の生徒だけに限らず、地域の方々からも熱い声援、励ましの言葉をいただき、感謝申し上げます。コロナ禍で今までとは違う形となりましたが、オリンピックやパラリンピックへの興味関心が大きく広がる一つのきっかけになったとも思います。
本人の感じたこと、伝えたいことを一言載せます。
「チームで一丸となり、充実した大会を送ることができました。応援ありがとうございました。」
 この経験を通して、本人だけでなく関わっていただいた皆様の今後の自身の社会生活が豊かなものになっていってほしいと思います。皆様、応援ありがとうございました。  文責:石井陸

<寄宿舎>

 寄宿舎の余暇活動は「青年期活動」という名称で、少人数のグループに分かれて行われています。昨年度は感染症対策のため、年間の実施回数は例年に比べ少なく終わりました。そんな生活の中で、少なく終えることへの不満と、自分たちで集まって活動がしたいという要望が聞こえてきました。舎生同士の交流が制限される生活の中では、大切な感情の表出です。現状を受けとめ、やりたいことを工夫する思考や実行力が舎生活の充実につながるという経験をしてもらうために、後期の寄宿舎生活は、やりたいことを言葉に出したり、意見箱に投書したり、舎生には充実させるためのヒントを私達職員がたくさん投げ掛けていきたいと思います。  文責:櫛田

<普通科進路指導部について>

 本校の進路指導では卒業後の生活を見据え、生徒一人一人が自己理解を深め、自己実現を図るための能力や態度を養い、主体的に進路選択・決定ができるようにすることを目標にしています。進路先は社会人として、また社会人になるための「スタート地点」です。高等部の3年間は自分に合ったスタート地点を見付けるための大切な準備期間です。
 希望進路に向けて、一人一人が力を伸ばせるよう、各講座の「自立活動」、CD講座生の「産業社会と人間」、AB講座の「作業学習」の授業を中心に、自己理解を進め、職業観の育成を進めています。C講座の「産業社会と人間」は今年度から授業数が増え、3学年合同で、得意・苦手を含めた「自己理解」、「働くこと」、「社会生活」について深く学んでいます。協調性や相手と向き合う真摯な姿勢を意識したロールプレイを通して、働く場での指示受けやメモの取り方などを学習しています。基本的なビジネスマナーや身だしなみなど、座学やロールプレイで学んだ内容を踏まえ、様々なオフィス事務補助作業の中で実践を重ねています。AB講座の「作業学習」でも、働く疑似体験から仕事の意味と内容への理解を進め、担当する作業内容に集中して取り組む楽しさや達成感を体験できるよう、個々の課題に合わせた作業を通して学習しています。
 進路指導では、生徒が「自分で考える力」「意欲」を伸ばせるよう、考える機会・きっかけを意識して指導を進めていきます。生徒一人一人が自分らしく充実した卒業後の生活を過ごせるよう、自分でやってみたい、自分でやり遂げたいという本人の「意欲」を育んでいきましょう。今後も進路指導への御理解・御協力をお願いいたします。  文責:普通科進路指導部 飯田

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